こんにちは。新人脚本家の渋谷七味です。おもしろい脚本を書くために、おもしろい脚本をたくさん読みたい! そういった思いから、シナリオブックが発売されたらドラマを見ていなくてもとりあえず購入することにしています。
今回は、実際に私が読んで「おもしろい!」「うまい!」「おまけに脚本の勉強にもなるっ!」と思ったシナリオブックを7つご紹介していきます。個人的な好みでセレクトしているのでかなり偏っていると思いますが、参考になりましたら幸いです。順不同で、思いつくままに書いています。
目次
脚本の勉強におすすめのシナリオブック1 美しい彼(坪田文)
このシナリオブックは驚きました。なんと! シナリオだけではなく、構成案やプロットまで掲載されているんです! こんなシナリオブックって今までありましたかね? シナリオブックにはたいてい脚本家や原作漫画家、プロデューサーなどの対談やインタビューがおまけとしてついてくるんですが、プロットまで掲載されているシナリオブックはかなりレアだと思います。
構成→プロット→脚本になるまでの試行錯誤も垣間見ることができて、勉強になりました。
脚本の勉強におすすめのシナリオブック2 カラオケ行こ!(野木亜希子)
もうこれは最高of最高です。和山やま先生の原作漫画のファンであり、野木亜希子さんのファンでもある私は、事前予約購入をして楽しみにしていました。一読して、期待以上のクオリティにトキメキが止まりませんでした。
このシナリオブックを買われる方は、ぜひ原作漫画も購入することをおすすめします。
原作にはないキャラがシナリオブックに登場しているんですが、それがものすごく自然なんです。さすが、脚色の名手と呼ばれる野木先生! 脚色の見事さを学べる一冊です。
脚本の勉強におすすめのシナリオブック3 向田邦子シナリオ集―昭和の人間ドラマ
言わずと知れた神脚本家・向田邦子先生の、傑作短編ドラマを集めた一冊です。いい脚本って時代を超えるんだな、と感じさせられる一冊です。もちろん、時代が違うので、いまの常識ではおかしいこともたくさん出てきますが、それでも普遍的な人間ドラマがあり、心揺さぶられるんです。
会話が自然でウィットに富んでいて、匠の技、という感じがします。
最近私が楽しみにしているNHKドラマ『VRおじさんの初恋』の脚本を書かれている森野マッシュさんも、向田邦子脚本を写経し、脚本の勉強をしていたとか! 写経することで構成やリズム感などの学びになったそうです。
脚本の勉強におすすめのシナリオブック4 往復書簡 初恋と不倫(坂元裕二)
独特のセリフ回しが秀逸でファンも多い坂本裕二さんのシナリオブックです。坂元さんのシナリオブックは、たくさんおすすめのものがあって、ひとつ選ぶのが難しいのですが……脚本の勉強という面で一番勉強になるのはもしかしてこれかも? と思って選びました。
こちらは朗読劇のシナリオブックなので、坂本裕二さんの得意な、ウィットに富んだ会話が思う存分に堪能できます。会話だけでここまで観客の想像を膨らませることができるのか……と感動できる一冊だと思います。
脚本の勉強におすすめのシナリオブック5 すいか(木皿泉)
問答無用でおもしろすぎます。何度も読み返したくなる脚本で、20年前に発売されたにもかかわらず、いまだにどこか新しさを感じられます。木皿泉さんの脚本は、ダメな人に対する目線が優しいというか……どことなく向田邦子をほうふつとさせる暖かさがあるところが好きです。
会話にリズムがあるので、写経にも向いてそうな一冊です。
脚本の勉強におすすめのシナリオブック6 きのう何食べた?(安達奈緒子)
よしながふみ先生の原作の魂を損なわずに見事に脚本に昇華している一作です。素晴らしい原作でも、ドラマ化した際に「何かが違う」となることはよくあることですが、本作は、多くの原作ファンを納得させる仕上がりになっていました。
このシナリオブックでは、どのように原作の味を損なわない工夫をしたのか、がインタビュー形式で綴られていたので、これから脚本を書く人に参考になる一冊だと思い、セレクトしました。
脚本の勉強におすすめのシナリオブック7 エルピス 希望、あるいは災い(渡辺あや)
構想から6年をかけて実現したという本作。どのような紆余曲折を経て実現に至ったのかがシナリオブックから垣間見ることができて興味深い一冊です。
ある種のドラマ企画を通すことの難しさを知ることができ、オリジナルドラマ企画を立てる際の参考になると思います。
刺さる名台詞がたくさん出てくるので、セリフが巧みな脚本を読みたいという方にもお勧めできます。
シナリオブックは脚本の書き方の勉強に役立つ。発売量の増加求む!
脚本の勉強のためにドラマや映画をたくさん観ているという人は多いと思うのですが、シナリオも合わせて読むことで、より深い学びができると感じます。
最近は、「虎に翼」(吉田恵里香)など、放送中に最初の方のシナリオを電子で読めるようになるケースもあります。「リーガルハイ」(古沢良太)のシナリオも電子版だけですが発売されていますし、電子で読めるシナリオブックの発売量が、今後も増えていくんじゃないかなと予測しています。
今回は、7つのシナリオブックを紹介しましたが、ここで紹介したものは読んでよかったシナリオブックのごく一部ですので、機会があれば、また別記事で紹介していきます。
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